2016年11月30日水曜日

華麗なる転身



甲州ぶどうを砂糖の衣で包んだ「月の雫」は、古くから山梨を代表するお菓子です。きっとご存知の方も多いでしょうね。この栄誉ある一粒に転身できるぶどうたちが、浅間園さんで収穫されていましたよ。
この時期にぶどう? って、とても驚いてしまったんですけど、浅間園さんのぶどう棚にはまだたくさんの房がぶら下がっていました。栽培方法にこだわって、少しでも長くお客様にぶどう狩りを楽しんでいただけるよう工夫しているのだそうです。
そういえば先日、山梨に雪が積もりました。その日にも来園者があり「雪の中でのぶどう狩りはさすがに初めて見ました」とスタッフさんも苦笑い。



この「月の雫」用ぶどうの収穫が終われば、山梨のぶどうシーズンは本当に終幕。フィナーレを飾っているのは、たぶん毎年ここ浅間園さんだと思います。
「月の雫」をいただきながら、たくさんの恵みと思い出をくれた山梨の秋を噛み締めました。



2016年11月27日日曜日

軒先の秋



雪です。まだ11月なのに。
3年前の大雪以降、山梨県人は雪に過剰反応してしまいます。ちょっと迷ったんですけど、予定していた枯露柿散策、行ってきました。
訪ねたのは枯露柿の里として有名な塩山地区の岩波農園さん。恵林寺さんのすぐ近くです。降りしきる雪の中、忙しそうに作業されていました。




枯露柿の名前の由来は、まんべんなく日が当たるようにコロコロと回して干したから、と言われています。枯露は当て字なのでしょうか。
渋柿の皮をむき、縄に吊るして軒先に干す。ひとつひとつ人の手で作られている枯露柿。大変な作業ですね。その製法は昔とちっとも変わっていないそうです。
あちらを見てもこちらを見てもすだれのような柿、柿、柿。鳥に食べられないのかと心配になリます。「畑の木には取り残した柿の実があって、鳥は熟したそれを食べる」とのこと。なるほど、優しい工夫だ。
年末が出荷のピークだそうで、そういえばおせち料理に入っているのを見かけますよね。
白く粉を吹いた甘い枯露柿。これからはもっとありがたくいただけそうです。
岩波農園さんの動画はこちら。https://www.youtube.com/watch?v=Hy7bivfD14c



恵林寺さん前の信玄館さんでは、枯露柿をめぐる30分ほどのコースをイラストマップで紹介しています。ガイドさんの説明を受けながらのウォーキングもできるとのこと。



お問い合わせは、信玄館さん(TEL.0553-33-3555 )まで。



昇仙峡うらおもて



紅葉も見納めかな、と思ってふらりと昇仙峡に行ってきました。昇仙峡というのは、荒川ダムの下流、仙娥滝(せんがたき)から長潭橋(ながとろばし)までの約5キロにわたる渓谷を指し、流れに沿って遊歩道が設けられています。仙娥滝やロープウェイのある上流の拠点は、お店も多くとても賑やか。この辺りだけを見て「昇仙峡に行った」と思っている観光客も少なくないはずです。もったいない。
上の写真は長潭橋から川面を覗いた風景。ここから上流に向かって遊歩道を散策です。



水音を絶えず聴きながら、マイナスイオンの中を歩くのはすごく気持ちがいい。傾斜も緩やかで路面も整備されているから、ゆっくりと周りを眺めつつ歩みを進めることができます。ときおり谷から吹き上げる湿った風、鳥のさえずりなんかも聞こえたりして、言ってみれば五感が喜ぶ散歩道といったところでしょうか。
美しい昇仙峡を静かに楽しみたいという方におすすめです。



仙娥滝周辺ではライトアップイベント「紅葉竹あかり」が最終日を迎えていました。
昇仙峡の秋が、燃え尽きようとしています。



2016年11月6日日曜日

信玄さんが見上げた空



武田信虎・信玄・勝頼が三世代にわたって暮らした躑躅ヶ崎(つつじがさき)の館。その跡地に建立されたのが武田神社です。
鳥居の下に立って参道の方角を振り返ってみました。武田通りと呼ばれるこの道はずっと坂道で、まっすぐ下りていくと2キロほど先に甲府駅があります。そう、武田神社は小高い丘の上にあるのです。
そもそも、ぐるりと山に囲まれた盆地はそれ自体が敵の侵略を阻む防御壁になっていたから、武田家は住処にこの地を選んだのでしょう。さすがは戦国の名武将。
正面に見える山並みは身延山のあたりでしょうか。町の様子は変わっても、あの山並みはきっと当時のまま。信玄さんもこの景色を見ていたのかと思うと、なんだか親近感がわきますね。



そういえば七五三のシーズン。可愛い晴れ着姿の子どもたちをたくさん見かけましたが、挙式を終えたばかりの新郎新婦にも遭遇。チャペルウエディングのブームも一段落して、神社での挙式が見直されていると聞いたことがあります。神社での結婚式は厳かでいいものですよね。若い人たちには、逆に新しいのかもしれません。
お宮参りに始まって、七五三、結婚式。地元の人たちにとって、武田神社は人生の節目とともにある神聖な場所なんですね。




紅葉はこれからが本番という感じ。日中の日差しは暑いくらいでした。
というわけで、お堀の前のかぶとやさんで一息。元祖信玄アイスをいただきました。こっくりと濃厚なバニラ。きな粉と黒糖は鉄板の相性。これはクセになりそうだ。



2016年11月5日土曜日

世界遺産は天狗の庭だった?



富士山五合目から望む雄大な雲海。車で気軽に足を運べる場所なのに、その景色は別天地のようです。さすがは日本有数のパワースポット。太古の昔には天狗が舞い降りてこの地で遊んだという伝説が残っていて、「天狗の庭」という別名もあるんですって。
この富士スバルラインの五合目は、じつは小御嶽(こみたけ)山の山頂。その歴史は富士山よりもずっと古く、小富士と小御嶽の上に噴火するたび降り積もった溶岩が今の富士山を作り上げたそうです。
立ち並ぶお店の中でもひときわ賑わう「富士山みはらし」さん。その角を曲がったところに赤い鳥居がありました。千年以上前から山岳信仰の拠点として崇められてきた富士山小御嶽神社です。ここ最近は、五合目を訪れる観光客の7割以上が外国の方だそうで、なるほど絵馬も国際色豊か。




小御嶽神社参拝の記念にぴったりのお土産を見つけましたよ。
その名も「見晴(みはるかす)飴」。神々しい黄金色のパッケージには、べっこう飴のようなまあるい飴玉が。小御嶽神社のご祈祷済みだそうで、運気が上がりそうなありがたい味(?)がしました。みはらしさんで購入できます。


まだまだ見どころいっぱいの富士山五合目。何度でも訪ねたくなる素敵なところでした。
例年12月の中旬くらいまで、富士スバルラインが通行可能であれば、お店は営業しているとのこと。一面雪景色の天狗の庭も見てみたいものです。



2016年11月4日金曜日

ユーモラスな表情に、思わずニンマリ



ひと目で「これ好き」と思ってしまいました。
鮮やかな色使いと柔らかい筆のタッチ。仏様なのにほのぼのした顔つき。
これは甲府市出身の林正日呂さんという版画家の作品。色紙に直に書かれた原画です。
林画伯は、江戸時代後期にたくさんの仏像を彫った木喰上人の研究をされていたそうです。木喰仏は微笑みを浮かべたお顔が特徴なので、彼が描く優しい表情もその影響なのかもしれません。
この絵と出会ったのは、昇仙峡の菅原屋さん。美味しい手打ち蕎麦がいただけるお店です。店内には同じ作者の大きな版画も飾られていましたし、よく見れば蕎麦猪口にも微笑みが。林正日呂さんは菅原屋さんの大将とゆかりのあった方なのですね。



絵は、ご要望があれば譲っていただけるそうです。私も一枚買おうかな。そのくらいのお値段でしたよ。
芸術の秋。絵の良し悪しはよくわかりませんが、自分の部屋に掛けておきたいなあ、と思ったら、それは良い絵なのではないでしょうか。



2016年11月3日木曜日

ローズヒップってバラの実のことだったんですね



きれいな赤い色をしたローズヒップのお茶は女性に大人気のハーブティー。ビタミンCが豊富なことでも知られています。それがこんなにも愛らしい姿をしているなんて、ちょっと嬉しい発見でした。
ハーブ庭園旅日記さんでは、いつ訪ねても季節の花々やハーブが鑑賞できます。でも、この季節ならではの楽しみは木の実の散策。ハナミズキにモチの木でしょうか。そうそう、ザクロも大きな実をつけていましたよ。木の実には、植物の生命力が宿っているような気がしますよね。植物も季節を感じて生きているんだ、としみじみ思います。


 メインの花壇では秋を代表する花、コスモスが満開。ブルーサルビアも見頃を迎えていました。もちろん、数種のセージなどハーブも可憐な花をつけています。
ショップには美肌やアンチエイジングのためのグッズが充実。ハーブティーを楽しめるカフェもあります。
女性にとってここは心をゆるりと遊ばせることができる、まさに夢のお庭のようでした。





2016年11月2日水曜日

日本のワインって、本当に美味しいんです



勝沼町にある白百合醸造さんを訪ねました。
国内外のワインコンクールで高い評価を受ける白百合さんのロリアンワイン。決して大きなワイナリーではありませんが、ぶどうの栽培から醸造まで人の手で丁寧に行われています。数々の受賞の所以は、こんなところにあるのでしょうか。
オーナーを囲んで笑顔を見せている3人の若者は慶応大学の学生さん。サークル活動の一環で白百合醸造さんに取材に来ていました。


どんなサークルなのかと質問したら「日本が抱える大きな問題を身近なことを通じて実感しながら考えてもらうための活動」をしているのだとか。
「たとえばユニクロの服を通してフェアトレードの現状に目を向けてもらったり」
そういえば、海外向けの衣類を縫製していたバングラデシュの工場が、ビルごと崩落してたくさんの犠牲者を出しましたっけ。
そして今回は、地産地消とTPP問題の関連性をテーマに甲州ワインにスポットを当てたとのことでした。若いのにとてもしっかりした考えをお持ちの学生さんたち。
確かに、国産ワインにも素晴らしいものがたくさんあるのに、日本人はイタリアやフランスのワインに目がありません。反省すべきところかもしれないですね。
日本の手仕事に、日本人はもっと誇りを持って大事にしていかなければ。